
月ごとに街が入れ替わる場所
韓国・ソウルの聖水エリアでは、大規模なポップアップが月単位で更新され続けています。オープン前から行列が生まれ、平日でも若い来場者を中心に高い集客が見込める状態が常態化しています。ヨンムジャン通りだけで月100件以上、ソウル最大級の百貨店 The Hyundai Seoul では開業から2年で約460件のポップアップが実施されました。
この密度は、単に流行しているという話ではありません。これだけの数が同じ街で回り続けているということは、企画・設計・運営の型がすでに industry として確立しているということです。日本から視察に行っても、表面の派手さだけを見て帰ってきてしまうのは、その型が見えていないからです。
行列は偶然ではなく、設計の結果である
現地を複数回にわたって取材した結果、集客に成功しているポップアップには明確な共通構造がありました。要素として繰り返し確認できたのは、無料配布アイテム、写真撮影とSNS投稿を前提とした空間、そしてスタンプラリーのような参加型の導線です。
重要なのは、この3つが単独では機能していないという点です。来場の動機づけから、現場での体験、その後の拡散までが一本の流れとして設計されています。来場者は訪れるだけでなく、撮影し、発信することでブランドの一部になります。ポップアップに行くこと自体がコンテンツ制作であり、並んでいる行列すらストーリーの一部として消費されています。
空間側にも共通項があります。中心となる大型オブジェを置くこと、一目でブランドが判別できる紙袋やポストカードなどのマーチャンダイズを用意すること、そしてアイドルや著名人との接点を作ること。いずれも視覚的な印象を強く残し、SNS上での拡散を前提にした構成です。
「感性消費」という前提の違い
韓国のポップアップ文化は2009年頃の実験的な取り組みから始まり、2010年代にビューティブランドの体験型イベントとして広がり、コロナ禍の収束を境に一気に主流化しました。その背景には、心理的な満足を重視する消費行動があります。売ることより、体験させることに軸が移った結果、大型オブジェ、スタンプラリー、フォトブース、ブランドキットといった構成要素が標準装備になりました。
つまり、日本の感覚のまま「良い商品を良い空間で並べる」という発想で企画すると、そもそも土俵が違うということになります。
レポートに収録した内容
本レポート『SEOUL TREND ソウル最新店舗デザイントレンド 2026秋冬号』では、聖水を中心に実際に足を運んで撮影・取材した6つの事例を、写真とともに解説しています。
ハンドバッグブランド Margesherwood の旗艦店では、彫刻的な展示什器によってブランドの美意識を空間として可視化する手法を扱っています。Hearts2Hearts のポップアップは、アイドルグループの世界観をどう物理的な構造に翻訳したかという事例です。Beauty Wonderland by Rainmakers は、日本企業が韓国の若い女性層に確実にリーチした実例として、スタンプラリー型の導線設計と滞在時間の作り方を詳述しました。このほか Sonc、Verish の2店舗を加え、色彩、動線、素材の使い方をそれぞれ分解しています。
あわせて、ロサンゼルスを拠点にソウルと日本を行き来するマーケター、キム・ミンヒョン氏の見解を随所に収録しました。聖水の来場者層の実像、聖水と新宿の性質の違い、既存建物の再利用がすでに一般化しすぎて次の段階に入っていること、そして韓国で日本のカルチャーが再び熱を持ち始めている現状について、現地の視点から語られています。日本のビューティブランド Shiro の聖水ポップアップがわずか2日間で高い売上を記録した事実は、日本ブランドにとっての機会の大きさを示しています。
こういう方に読んでいただきたい内容です
海外でのポップアップ展開を検討しているブランドの担当者、店舗開発やVMDに携わる方、そして日本国内の店舗づくりに新しい視点を取り入れたい方を想定しています。全39ページ、事例写真を多数収録。デザイン事務所の連絡先も掲載しているため、実際に相談へ進む段階の方にもそのまま使える構成です。
下記より無料でダウンロードいただけます。

ワールド・モード・ホールディングス株式会社(WMH)について
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