インタビュー

なぜ日本ブランドの7割が台湾で苦戦するのか?WMHが明かす「現地運営×PR」成功メソッド

  • #海外進出

【編集部より】 本記事は、WMH海外支援チームが蓄積してきた"現地運営×PR"ノウハウを余すところなくまとめたものです。台湾市場で成功するための実践的ポイントを、WMHが日台PRパートナー〈ninjin〉様と語ります。共同企画としてファッション・ライフスタイル業界特化型メディアを運営されている『NESTBOWL』様に取材していただいており、海外展開を検討されている方にとても有益な内容になっております。


近年、日系企業の進出が相次ぐ台湾。2025年3月には「三井ショッピングパーク ららぽーと台北南港」が開業し、台湾初出店となるブランドも多数オープンした。今後もさらなる進出が見込まれる中、日本のブランドが成功するためにはどんな戦略が求められるのか。

今回は、企業の海外進出を支援してきたワールド・モード・ホールディングス株式会社(以下、WMH)の執行役員・松本眞人と、WMHが台湾市場攻略のパートナーとして選んだ日台PR企業・寧淨國際有限公司(以下、ninjin)の荘寧(チュアン・ニン)氏に、台湾進出成功の秘訣を聞いた。

WMHキーパーソンのご紹介

松本眞人|ワールド・モード・ホールディングス株式会社 執行役員 営業統括部部長

大学卒業後、株式会社トゥモローランドを経て、ファッション関連の人材サービス企業の立ち上げに参画し事業拡大を図る。その後、株式会社フォーアンビションの取締役に就任。関西支社の立ち上げや経営に携わり、事業責任者として活躍。現在はWMHグループの営業及びコンサルティング事業の責任者としてグループ全体の営業を取り仕切る。

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パートナー ninjinとは

荘寧(チュアン・ニン)氏|寧淨國際有限公司 共同創業者

日本の大学院でアートとメディアによる地方創生の研究をした後、共同創業者の廖品淨氏と、新潟県「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」などのプロジェクトに携わる。2019年に日本と台湾で起業。ロマンチック台三線芸術祭2019、2021台北ファッションウィークなどの日本向けPRを手掛ける。


台湾進出により日本での事業成長にも繋がる

― まずは、WMHの海外進出支援について、具体的にどんなことをしていますか。

松本(WMH):私たちは、シンガポール、オーストラリア、台湾、マレーシア、ベトナムに海外拠点を置いています。そして各国で、人材や教育、店舗運営など、日本と同じような多角的なサービスを展開しています。中でも、引き合いが増えているのは店舗運営です。

日本企業が海外に進出する際、以前は現地のパートナー企業にブランディングや店舗運営を含めたすべてのビジネスを委ねるケースが多くありました。しかし、近年は自社で現地に法人を設立し、直営でビジネスを行う日本企業が増えてきました。ただ、自社で採用から店舗運営、オペレーションの管理までを行うのはまだハードルが高く、店舗運営はどこかに任せたいというニーズがあります。

WMHは日本でブランドとの信頼関係を構築できていることから、現地での店舗運営を任せていただく機会が増えてきました最近は特に台湾やマレーシアでの依頼が非常に多いです。

― ninjinではどんな事業を行っていますか。

ニン氏(ninjin):当社は、アート・カルチャー・ファッションに特化したPR会社です。私ともう1人の共同創業者は、日本の大学院でアートとメディアによる地方創生の研究をしていました。帰国後は、逆に台湾を日本に紹介する事業をやろうと、ninjinを設立しました。

台湾の大型カルチャーイベントの日本向けPRの仕事を皮切りに、台北ファッションウィークの日本向けPRや、株式会社yutoriの「9090」のポップアップ、店舗のオープニングセレモニーのPRを担当しました。WMHとの協業では、この日台両方の文化理解が大きな強みになっています。

― 今、日本のブランドが海外進出に目を向けている理由をどう分析していますか。

松本(WMH):日本では人口減少や高齢化が進んでおり、日本市場の成長性を考えると頭打ち感があります。ビジネスを広げていくためには、グローバルのマーケットという選択肢が自ずと出てきます。その中でも、アジアは身近な地域であり、特に台湾は距離的にも近いので、進出する企業が増えていると考えています。

それから、WMHのクライアントでもある日本のデベロッパー様が海外に商業施設を建設していることも背景としてあります。日本での取引があるデベロッパー様から紹介されて、海外に進出するブランド様も増えていますね。

台湾は親日で、日本のカルチャーに興味を持っている人が多い国です。2024年度の訪日外国人旅行者数のうち、台湾からは約600万人、人口の約4分の1にあたる人が日本に来ています。そのため、単に台湾で売上を伸ばすだけでなく、日本に来た時に商品を購入していただくという双方向のシナジーが生まれやすいんです。ブランドの認知度を高め、日本でのビジネスを成長させる意味でも、台湾への進出は有効だと感じています。

​​長年、日本で培った人材ビジネスや店舗運営のノウハウをベースにさまざまな日本企業の海外進出支援を行っていると語る松本​

成功の秘訣は綿密な計画を立てること

― 台湾のファッショントレンドやカルチャーの特徴は何でしょうか。

ニン氏(ninjin):台湾は温かい気候で、バイクに乗る人も多いので、カジュアルな服を着る人が大半ですね。機能性も重視しています。コスパ重視の方と節約家が多く、あまりおしゃれしない人が多かったのですが、最近は「ららぽーと」「TSUTAYA」など、日本の商業施設やブランドが増え、台湾人も日本のファッションを求めるようになりました。

― 台湾で成功している日本ブランドの事例を教えてください。

ニン氏(ninjin):例えば「ニコアンド」は、台北の中心街に大きな旗艦店を建てました。台湾人が日本のブランドを知るきっかけはリアル店舗であることが多いので、タッチポイントを増やす施策として有効だと思います。あとはローカライズがすごいんです。台湾のイラストレーターとコラボしてグッズを作ったり、展示をしたり。ほかにも、併設されているカフェでは、台湾で親しまれている飲食とコラボしたメニューを作っています。台湾人はそういうコンテンツにすごく共感します。

― ニン氏がPRを手掛けた「9090」は、2回のポップアップだけでなく、オープン初日にも長蛇の列ができて話題だったとか。成功した要因は何だったのでしょう。

ニン氏(ninjin):1回目のポップアップの前にリリースを配信したのですが、タイトルはかなり工夫しましたね。台湾人には「●●が台湾初上陸!」だけだと響きません。調べてみると、「YOASOBI」のAyaseさんが着用していたことや、ポケモンとのコラボをしていることがわかりました。どちらも台湾人に人気なので、そこを訴求できる内容にまとめました。その結果、メディアの反応も良く、一気に注目されたんです。

​​台湾でおこなわれた「9090」のポップアップの様子(Photo:株式会社yutori PRTIMES)​ 

― 反対に、陥りがちなミスやうまくいかない要因は。

松本(WMH):出店前にプロモーションを行わなかったり、出店後もブランドの認知度・売上アップのための計画を立てなかったりと、ブランド認知のための準備や施策を行えていないと、思うような成果につながらないことが多いです。また、日本で認知度があるからといって、台湾でも同じとは限りません。WMHでは、現地のマーケティングリサーチも含めた包括的な支援を行っています。

ニン氏(ninjin):ある日本のブランドはPR予算がないという理由で、ポップアップを出す前に一切予告をしなかったんです。そのブランドをプロデュースしている方は台湾でも有名だったので、メディアはたくさん来たものの、売上には繋がりませんでした。あとはタグの付け替えも大事ですね。日本円の表示が見えると自分で計算してしまい、日本で買ったほうが安いとわかれば、購入に繋がらない可能性もあるからです。

― 店舗運営において、重要なポイントは何ですか。

松本(WMH):日系の商業施設が増えていることもあって、台湾国内の接客サービスのクオリティは向上しています。一定以上のクオリティのオペレーションを提供しないと、台湾の消費者に満足してもらえません。

ほかにも、台湾は離職率が高いことに注意が必要です。特にリテール領域では人材の流動性が高い傾向があり、少し余裕を持って人材を配置しておかないと欠員が出てしまうことも。加えて、デジタル先進国であることから、リアル店舗で販売の仕事をしたい人が減ってきています。採用課題は多岐に渡り対応が難しいため、私たちWMHのような現地の情報とノウハウを持った会社にご相談いただきたいと思っています。

― 台湾に進出するブランドが増える中で、差別化するためのポイントを教えてください。

ニン氏(ninjin):ブランドのストーリーを伝えることが大事だと思います。例えば「SHIRO」は、地域によって異なるフレーバーを使っていて、それぞれにストーリーがあります。そのほか「グラニフ」「HUF」も、ブランドストーリーの伝え方がうまいですね。

あとはSNSの活用です。台湾はXではなく、InstagramやLINEの公式アカウントなどがよく使われています。お客さんは質問があると、LINEの公式アカウントに直接連絡するんです。台湾人がよく使うSNSでキャンペーンを行うのも有効だと思います。

​​ローカルで使われているツールやアプリを活用してマーケティングやPRを行っていくことが大事だと語るニンさん​

台湾での経験を出発点にグローバルへ

― 台湾へ進出を考えているブランドが、まずすべきことを教えてください。

松本(WMH):台湾でビジネスを行う目的を明確にすることです。台湾で事業を拡大する、店舗で認知度を高め、売上はeコマースで作るなど、様々な目的があると思います。台湾の国土はそこまで広くないため、売上規模はある程度決まっています。市場規模を理解した上で目的を定め、進出を判断することが大切です。

― 日本と台湾をつなぐため、今後チャレンジしたいことは何ですか。

松本(WMH):台湾に進出するブランド様には、失敗体験をしてほしくないと思っています。本当はポテンシャルがあるのに、準備不足のため結果的に撤退してしまったり、グローバル展開まで諦めてしまったりするのはもったいないです。WMHは成功体験を実現していただくよう、日本と現地拠点の両方から、準備段階から進出後まで継続的に伴走させていただきたいと考えています。

ニン氏(ninjin):台湾人は日本が大好きで、これからも日台友好の関係は続いていくと思います。ぜひ台湾に来て、チャレンジしてみてほしいです。そしてPRをするときには、私たちのような現地をよく知るPR会社を信じてください。台湾人に伝わるような言葉を一緒に考えて、面白いPRをやりましょう。

取材:NEST BOWL
文:渋谷唯子
撮影:船場拓真
協力:寧淨國際有限公司(ninjin)
編集:WMH編集チーム

    • ワールド・モード・ホールディングスの海外進出支援について

      https://global.wmh.co.jp/

      2023年4月より、シンガポールに地域統括本部WMH ASIA PACIFICを設け、海外拠点(シンガポール、オーストラリア、台湾、マレーシア、ベトナム)の事業を統括。各拠点の市場を熟知するプロフェッショナルたちのノウハウや経験を集約し、統合的なソリューションを提供する体制を強化しました。市場参入から、輸入代行、ブランド事業運営、経営まで海外展開への全面的なサポートを提供。また現地拠点との連携により言語や商習慣など海外進出における様々な課題に対応し、海外進出を検討している顧客の不安を取り除く事で、成長著しいAPACでの顧客企業の事業展開を支えています。

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