インタビュー

「売れる店」だけではなく「選ばれ続ける人」へ。BRUSHが提供する、店舗づくりの本質【WMH STORY vol.5 店頭支援編】

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ファッション・ビューティー領域に特化したソリューション・グループ、ワールド・モード・ホールディングス(WMH)のビジネススキームは、ユニークで他に例がない、文字通り唯一の存在です。人材の採用育成、店舗運営、マーケティング、空間デザインなど、専門性の異なる企業が集まり、クライアントの課題に応じて協業することで多岐に渡るソリューションを提供しています。

本ストーリーでは、グループで店舗運営支援を担い、「店舗が選ばれ続け、成果を出し続けるための仕組みづくり」を提供するBRUSHにフォーカスします。

BRUSHが提供するのは「店舗が成果を出し続ける仕組み」

BRUSHは、「研修」や「教育」にとどまらない、店舗が成果を出し続けるための包括的な支援を提供しています。現場が迷わず動ける状態をつくり、人が育ち、数字が積み上がり、それが継続する状態を、再現可能な形で店舗に組み込むことが、BRUSHの支援の本質です。徹底した分析を行い、最適な解決策で結果へと繋げる支援によって、クライアントの信頼を獲得し、継続的なパートナーシップを築いてきました。その信念に至った背景とは何か、そしてこれからの未来に店舗・販売員に求められるものとは何か。数々のラグジュアリーブランドにおいて勝てる店舗へと導いてきた、株式会社BRUSHの代表取締役 秋山恵倭子(あきやまえいこ)とともに、BRUSHが生み出している価値の本質を掘り下げていきます。

「コンサルではない」BRUSHが店舗運営支援にこだわる理由

―まず、BRUSHの主な事業内容を教えてください。

秋山:BRUSHが提供しているのは、「実際に売れる店舗に仕上げる」店舗運営支援です。大きくは「教育」という言い方をしていて、もちろん研修も行いますが、それだけではありません。研修だけならBRUSHではなくてもできる方々がたくさんおられると考えています。「コンサル」という言葉も使われることがありますが、現場とも深く関わるのでちょっと違う気がしています。店舗が成果を出すためには、頑張るだけでは勝てません。現場に必要なのは精神論だけではなく、数字にもとづいた「ロジック」です。パッションとロジックが化学反応を起こした時、初めて店舗が強くなります。しかしこのロジックを確立している店舗はまだ少ないです。BRUSHはそのための方法を提供し、売れる店舗に仕上げて、店長が迷わず店舗運営できる状態をつくります。

顧客課題に合わせて、店舗運営の様々なソリューションを提供

―「売れる店舗に仕上げる」という言葉が印象的です。

秋山:店舗運営は、現場が回っていればいいわけではありません。継続して部下を育て、数字を作り続ける手法がないと、勝ち続ける店舗にはなれない。だから、私はクライアントの皆様に「“手法屋“だと思ってください」とお話しています。

ただ、せっかく良い手法をお渡ししても使い方がわからなかったら意味がないですよね。使い方を間違えたり、「面倒くさそう」と使わない人もいる。ですから、OJTを通じて使いこなしていただける状態になるまでをセットで支援します。

店長が管理するのは「数字・顧客・スタッフ」

―BRUSHでは、特に店長研修を重視されていますが、なぜですか。

秋山:研修は販売員全般を対象に提供していますが、「新入社員研修から」と言われたら、私はまず「店長研修からやらせてください」とお願いしています。いくら新人教育をして「販売って面白い」と思って売場に入っても、現場の環境が整っていなければ、モチベーションが下がり、続けられなくなってしまいます。店長が優れたリーダーなら良いお店になるし、逆に店長が上手く機能しなければ部下は育たない。つまり、現場は店長の力次第で変わる。リテールビジネスは「店長ビジネス」とも言えます。

―店長育成において重視されている点は何ですか?

秋山:店長が育成・管理しなければいけないものは、実は三つしかありません。数字を作ること(育成・管理)、顧客の育成・管理、そしてスタッフの育成・管理。最後のスタッフ育成が一番大変です。

―なぜですか?

秋山:店長に一番求められているのは、スタッフの手を介して売上を作ることです。店長選任の際、売上が高い、“販売員としての”トッププレーヤーの方が選ばれることが多いのですが、「自分がお客様に商品を売ること」と「スタッフの手を介して数字を作ること」はまったく別のスキルです。その違いを学ぶ機会がないまま店長になり、店舗運営やスタッフの育成・管理に悩んでいる方がたくさんいらっしゃいます。ですからBRUSHでは、店長に求められる心構えや店舗運営に必要な手法をお伝えしています。

店長たちの意識が揃ってきたら、現場のスタッフにも広げていく。同じフィロソフィー、同じやり方で揃える。そうするとチームが迷わなくなり、店舗の成果に繋がり、結果的に会社全体が強くなっていきます。

昨年は、店長の方々の支えになりたいと、勝てるチームづくりに必要な力や心得などについて連載で発信した(Fashion Commne 2024年9月~2025年9月掲載

成果を生むのは、「見える化」と「再現性」

―現場では具体的に、どんなところでつまずきが起きているのでしょう。

秋山:「できない」のではなくて、「知らない」だけだと思っています。たとえば予算管理表。数字を作るためのスタート地点であるはずなのに、見やすい予算管理表を作り、全員で共有できている店舗はあまりありません。店長や上層部の方だけが細かい数字を把握しているというケースも少なくありません。こうした数字を店舗スタッフ全員が理解できる、見やすくて管理しやすい状態にすることが重要です。今日入った新人が理解できないなら、意味がありません。BRUSHではそこから整えていきます。

顧客管理も同じです。顔と名前の見えるお客様が何人いるか、誰が何人担当しているか。それが分かると、どれくらいの規模のイベントを設計できるか判断できます。アプローチリストを作るとして、「スタッフ3人で300万円の予算だから、1人100万円ずつ」と単純に割るだけでは予算は達成できません。来店率や客単価など様々な要素を加味して作り、「何人にアプローチする必要があるのか」「今現在の進捗状況はどうなのか」といったことをタイムリーに把握する。そういう店舗独自の仕組みが必要です。

―そうした仕組みは、秋山さんご自身の現場経験から生まれたものですか。

秋山:そうです。どうしたらスタッフの行動を可視化できるかをいつも考えてきました。店舗のスタッフ数が30名以上の大人数だったり管轄する店舗が増えたりしたとき、管理の方法が揃っていないと現場が迷ってしまうからです。方法が統一されていれば、店舗を異動してもスタッフが迷わない。結果として店長もマネジメントに悩まずに済みますし、同一フォーマットで運営しているから顧客の引き継ぎもスムーズに行えます。

具体的でないと、現場では使えないんです。「頑張ろう」ではなく、「何を、どうすればいいか」が分からないと、動けません。

AI時代、店舗の価値は「人の温度」に再帰する

―コロナを経て、デジタルやAIの活用が進みました。今の販売の現状をどう見ていますか。

秋山:いい時代になったな、と思います。私が今の時代に販売員をしていたら毎日ライブ配信をします。どう見えるか、どんな見せ方をすれば伝わるのか、何がお客様に響くのかを、お金を払ってでも研究します。

ただ、デジタルは使い方を間違えると弊害が出ます。コロナ後、LINEなどで一気にお客様とのやり取りが増えましたが、一斉配信だとどうしても反応が薄くなります。顧客のリピート率が高いクライアントの話を聞くと、LINEよりも個別に送るSMSの方が反応が良かったり、電話の方がレスポンスが早かったり、意外と手紙が喜ばれたり。結局、使い分けをすることが重要なのだと思います。

ファッションはお客様と向き合うエモーショナルなビジネスなので、やはりその部分は人が担うべきだと思います。デジタル、AIは空気を読むところまではできません。だから発信のツールやスキルはデジタル、AIで磨きつつ、最後は人と人の関わりで、購入に至るまでお客様に寄り添い最適な選択をサポートする。そこがリアル店舗ならではの価値だと思っています。

photo by 東山弥生
リアル店舗の価値や今後求められる接客、販売員像などについて伝えるトークセッションも開催(昨年11月にFashionStudies®と共催したトークセッション「販売は幸せを届ける仕事」。写真左はスタイリストの神崎裕介氏)

― 今の販売員は、接客技術だけでなくデジタルの勉強もしないといけないし、表現もマンツーマンから何百人・何千人への設計に変わる。ある意味タレントだなと思います。

秋山:まさにそうです。昔のレベルでは戦えないし、自分をどう見せるかの違いがはっきり出てきます。そして、その人ならではの魅力の見え方がより鮮明になります。

―ライブ配信を見ていると、「よく喋れるな、すごく器用だな」と思いますし、見ているうちに欲しくなります。

秋山:結局は「誰の配信を見るか」ですよね。配信が上手だから売れる、ではありません。多少つたなくても、最初にその「人」を買ったら、その配信を見ます。そして「この人に会いたい」と思ったらお店に会いに行くという流れができます。リテールは、何を売っていても、まず「自分を買ってもらう」ことが一番大切です。それは技術ではなく「人間力」。そして店舗は、販売員に会いに行く場所なんです。

― 「人間力」とはなんでしょう?

秋山:包容力やホスピタリティのような、その人にしか出せない力や空気です。私は5年前から、販売コンテスト「STAFF OF THE YEAR」の審査員を務めさせていただいているのですが、最終審査のロールプレイの審査で見るのは、接客力だけではないんですね。人間力も審査対象です。最初は、ロールプレイを見るだけでは人間力なんて分からないと思いましたが、はっきり出るんです。

8万人を超える応募者の中から最終審査に臨んだファイナリストはたったの14人だけ。その中でも、今回の優勝者の方からは、その方にしか醸すことのできないホスピタリティや包容力といった人間力を感じました。あの審査はリアルな場でしかできなかったと思います。

STAFF OF THE YEAR 2025(特設サイト最終審査アーカイブ配信 ) 令和のカリスマ販売員を決める販売コンテストで、秋山は販売を熟知するエキスパートとして、ファイナリストたちのロールプレイを審査。

―販売員を取り巻く環境はめまぐるしく動いていますが、研修などで多くの販売員の方と接する中で、変化のようなものを感じていますか?

秋山:時代や環境が変わっても、本質的には変わりません。会社は様々な教育や情報を用意してくれますが、その先を学ぼうとするかどうかはその人次第ですし、自ら学ぶ姿勢を持たない限り成長し続けることは難しいです。私は販売の現場にいた頃、すごく勉強しました。わからないことは図書館で調べたり、生地を知りたいと思ったら生地屋さんで切れ端をもらって研究。販売という仕事は、誰にでも広く門戸が開かれています。最初のハードルが低い一方で、努力次第で大きく成長し、活躍の幅を広げられる可能性も高い仕事です。終わりのない技術職だと捉えています。努力の積み重ねが、結果として成長の差につながる、本当に面白い仕事です。

BRUSHが描く、販売という仕事のあるべき未来

―ここから少し視野を広げて、WMHのグループ企業としての取り組みについても伺います。グループ間では、どのような連携をされているのでしょうか。

秋山:グループのiDAに登録されている方々に向けた販売の基礎研修を実施しています。それぞれ違った目標や思いを持って登録されているのだと思いますが、「販売をやってみよう」と私たちのグループの扉をノックしてくださっている。その一人でも多くの方に、「販売って面白い」と思ってもらえるように研修を行っています。今後、もっと機会を増やしていきたいと考えています。

また、WMHは多くのブランド様とお取引をさせていただいているので、「この企業様がこんな課題をお持ちです」といった情報をグループ内で共有し、BRUSHも一緒に取り組ませていただいています。グループ内での連携をさらに強めて、このような支援に一層力を入れていきたいです。

―BRUSHとして、短期的に取り組みたいこと、長期的に描いていることを教えてください。

秋山:短期的には、支援させていただいた企業様が確実に成果を出すためのフォローを強化していきたいと思っています。私たちにはその責任があります。そして、より多くの企業様に対して「お困りでしたら、ぜひ私たちにお任せください」と手を挙げていけるよう、BRUSHのサービスを広く届けていきたいです。

長期的には、販売という仕事のやりがいや面白さをもっと多くの方に伝えていきたいです。私は販売員という職業の社会的地位を上げたいという思いから、この会社を設立しました。事業活動を通して、販売は知性や高い感度が求められるクリエイティブな仕事であることを発信する企業でありたいと思っています。

そしてまだ手付かずですが、環境の制約で選べる仕事が限られてしまう子供たちに、販売という選択肢を届けたいと考えています。以前、児童養護施設の支援に関わった際に、職業として看護師や美容師などの専門職を選ぶ人が多いことを知りました。私は販売という仕事の面白さと勝ち方なら伝えられるので、選択肢に加えられるように、グループの力も借りながら、こうした人材を受け入れられる環境をつくりたいと思っています。

― ありがとうございました。最後に、「人間力」のお話が印象に残りました。

秋山:人間力のある人には、共通してホスピタリティがあります。感謝する、相手を大切に思う、誰にでも挨拶をする。当たり前のことがきちんとできる。でも当たり前だからこそ難しいですし、この部分がしっかりと固まらないと何も積み上がっていきませんので、BRUSHでは研修の最初にそこを徹底してお伝えします。仕事は一人でしているわけではありません。これは人と接するどんな仕事にも共通することだと考えています。


※WMH STORY vol.1〜vol.4もぜひご覧ください。

創業25年を迎えたiDAが事業拡大とV字回復を実現した理由 。ファッション・ビューティー領域に特化した総合人材サービスで唯一の存在に。【WMH STORY 人材・教育編 vol.1】

現場の持続可能性を支える”人”への投資 ー ファッション・ビューティー業界にいま必要な教育とは【WMH STORY 人材・教育編 vol.2】

広告会社から統合マーケティング企業へーAIADと双葉通信社の軌跡から読み解く、日本のファッションマーケティングの変遷【WMH STORY マーケティング編 vol.3】

日本発ブランドを世界へ。WMHの総合支援とGDXのECビジネスの融合で実現する、新たな海外進出支援とは? 【WMH STORYマーケティング編 vol.4】


【株式会社BRUSH について】
2015年設立の、ワールド・モード・ホールディングス株式会社のグループ企業。各種研修(セールステクニック・マネジメント・階層別トレーニングなど)から店舗運営に必要なメソッド(計数管理・顧客育成・イベント管理など)、OJT教育までをワンストップで実施。プロのリサーチャーによる店舗診断や接客マニュアル制作なども行う。店舗運営の課題をクリアにして可視化させ優先順位を付ける、本質的なソリューションとコンサルティングを提供しています。https://brush-mode.jp/

【ワールド・モード・ホールディングス株式会社について】
ファッション・ビューティー業界を専門に人材やデジタルマーケティング、店舗代行など様々なソリューションを提供するグループ。iDA、BRUSH、AIAD、AIAD LAB、フォーアンビション、VISUAL MERCHANDISING STUDIO、双葉通信社 の7 社の国内事業会社および シンガポール、オーストラリア、台湾、ベトナム、マレーシアに海外拠点を持ち、専門性の高い各社のシナジーによって、クライアント企業の課題に応じた実効性の高いソリューションを提供しています。https://worldmode.com/


プロフィール

秋山恵倭子
セリーヌ、ジョルジオ・アルマーニ、プラダ、ティファニーにおいて、店長、スーパーバイザー、リージョナルディレクターを経験。外資ラグジュアリーブランドで常にトップセールスを走り続け、その知見を生かし店舗運営コンサルティングを提供する株式会社BRUSHを設立。長年ファッションに向き合うことで磨かれた感性とビジネスを成功に導くメソッドには定評があり、講演、トレーニング、コンサルティングの依頼が後を絶たない。店舗運営のエキスパートとして多くのクライアント企業を成功に導いている。

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